田辺 厚子
(たなべ あつこ)

神奈川県横浜市港北区
2009年5月開設

テューターになる前はどんなお仕事をしていましたか?

 銀行の国際部で,融資先の外国企業の業務分析や,それらの企業がある国の経済・政治状況の分析を担当していました。世界の情報がインターネットで瞬時に入手できる近ごろとちがい,情報収集に手間のかかる時代でしたので,英字新聞数誌や経済誌に目を通すことから一日が始まり,外部の様々なセミナーや各国大使館のイベントなどで収集して得た英語・中国語・日本語の情報を,レポートにまとめていました。

テューターになったきっかけを教えてください。

 素晴らしい絵本を教材にしている点に魅かれて,わが子を、近所のラボ・パーティに通わせていました。そこで,笑顔を絶やさない素敵なテューターと,こどもたちに出会ったのがきっかけです。
 わが子の通うパーティ(教室)は,幼児から大学生までがいる縦長異年齢グループの大きなパーティでした。そこで,どの大学生も,大人に対して礼儀正しく,自分を語ることばをもっていることに気づいたのです。
「このパーティでこのテューターについていけば間違いない,ラボを子育ての中心にして大丈夫だ」と確信に近いものを感じるようになりました。
 大学生に感心したもうひとつの点は,彼らのテーマ活動(英語劇)です。単に英語が話せるというレベルを遥かに超えて,彼らの表現には毎回圧倒されました。道具も何もないのに,大学生が舞台に立つだけで,観ている者の目の前に確固たる物語の世界が現れるのです。
 自分もテューターに,とはその当時まったく思っていませんでした。でも,後からふり返ると,大学生たちのテーマ活動に心をうばわれたことがテューターへの道の始まりだったかもしれません。なぜなら,私自身もテーマ活動をやってみたくなり,保護者有志で大人のテーマ活動を取組むことにしたからです。その活動を通して,身体とことばとこころがすっとつながる気持ち良さを感じ,子どもたちが体感している高みを,下から垣間見たような気がしました。「どうしてあのような大学生が育つの?」「テーマ活動って,何?」「ことばを自分のものにするって,どういうこと?」という疑問が生まれ,ラボ・パーティについてもっと知りたくなり,テューターになるためのスクーリングに通い始めました。

普段はどのような活動をしていますか?

 現在,未就園児から高校生まで約40名の子どもたちと活動しています。毎週の活動では,7グループに分かれて英語の歌や物語を,思い切り身体を動かしながら楽しみます。子どもたちは,勉強の科目としてではなく,気持ちのこもった,生きたことばとして英語のシャワーをたくさん浴び,声に出して言えるのがとてもうれしそうです。また,年に一回,英語のネイティブ・スピーカーであるラボのインターンを招いて交流会を設けています。パーティ全体の活動としては,イースター,パーティ合宿,夏祭り,ハロウィーン,クリスマス会などを,中高生の企画・運営で開催しています。

テューターになってよかったこと,
たいへんなことはなんですか?

 何といっても,パーティの子どもたちの成長を感じた時に,大きな喜びを感じられることです。子どもたちは,自分たちで考えた活動を毎週積み重ねていくなかで,大人が思いもよらない成長を見せてくれることがあります。その場に立ちあえるのは,子どもたちを見守るラボ・テューターだけの特権です! 何年もかけて一人ひとりを見つめることができるのも,大きな魅力とやりがいです。もうひとつ,テューターの仕事のよさを挙げるとすれば,自分の裁量でパーティを運営できる醍醐味があることです。個人事業主として,自分が大切にしたいことや,ライフスタイルに合わせた運営ができるのです。私がテューターになる前に勤めていた銀行のような,大企業の歯車のひとつとして与えられた仕事をするのとは,まったく違います。「自分らしくできる」ということも大きな魅力だと感じています。
 これらよかったことを裏返すと,それはすなわち,たいへんなことでもあります。生身の人間に向き合うことはエネルギーのいることです。保護者ともていねいにことばを交わして,子どもの可能性がさらに広がる環境を作るようにしています。また,個人事業主として,当然ながらそれなりの責任と覚悟が必要です。

これからラボでしていきたいこと,夢はなんですか?

 「大人になるまでに,なるべくたくさんの人に出会ってね!」と,いつも子どもたちに伝えています。パーティ内にとどまらず,全国規模でのラボの活動に参加する子や,ラボの高校留学でアメリカに渡る子が出てきて,少しずつ子どもたちの活動範囲が広がってきました。これから,もっともっといろんな活動を体験してほしいと思います。
 ラボには,求めればたくさんの人に出会える機会が多くあります。体験を積み重ねる中で,子どもたちはお互いを尊重し,相手の意見を受け止めつつ,自分の意見も発信できるようになります。自分らしく生きることができればとても幸せですし,お互いを尊重しあえる人間を一人でも多く世の中へ送り出せば,その分だけ世界の平和へ近づくと期待しています。

どんな方にラボ・テューターをお勧めしたいですか?

 好奇心の強い方にお勧めしたいです!
 ラボの活動は本格的で,幅が広く奥深いので,おもしろいですよ! 子どもたちと共に,指導者であるラボ・テューターもどんどん成長できます。