谷口 陽子
(たにぐち ようこ)

長野県長野市
2006年7月開設

テューターになる前はどんなお仕事をしていましたか?

 大学では教職課程を履修し,教育実習にも行きましたが,就職活動は教職に絞らずに幅広くしました。受かったのはキャビンアテンダントやインテリアコーディネーターを目指せるという住宅メーカーで,どれも魅力的なお仕事でしたが,悩んだ末に地元の金融機関に就職し営業部に配属されました。様々な業種の職場に出向き,話をうかがうのは勉強になりましたが,自分に合った仕事ではないなと思ったので,4年ほどで結婚を機に退職しました。その後はアパレル業で販売をしたり,アロマセラピーの勉強をしたりしました。

テューターになったきっかけを教えてください。

 夫が希望していたアメリカの大学院に受かったため,一緒に渡米し3年間ペンシルベニア州のフィラデルフィアに住む機会に恵まれました。そして私も夫と同じ大学に通い,数か月英語を学びました。その後は教会で,文化やキリスト教をボランティアの方から学びました。
 フィラデルフィアは「兄弟愛の町」と呼ばれていて,アメリカ建国の地。どんな宗教も人種も受け入れてきた場所でした。そこで出会った,様々な国の温かい人々,宗教,絵本や図書館のストーリータイム,全てがとても新鮮でした。実は高校で英語がお勉強になったあたりから私は英語が好きとは言えなくなっていました。それが,本来は好奇心旺盛,やっぱり英語はコミュニケーション手段で楽しいものだと実感したのです。もっともっと自由に話したい,世界を知りたいと思うようになりました。そして「帰国したら,この経験をいかす方法はないか」と探していたところに,ラボ・パーティに出会いました。アメリカで長女を出産したばかりのころで,ことば(英語)の育ちや子どもの成長,絵本,ナーサリーライムに興味があり,一緒に学びたいと思っていたので,ラボのライブラリーを見てピンときました。それがテューターになろうと思ったきっかけです。

普段はどのような活動をしていますか?

 現在3クラスあり,メンバーの年代も在籍年数も違いますが,基本的にクラスの前半は英語の歌やナーサリーライムを歌ったり,踊ったり,ゲームにしたりと,声を出し,身体を動かし,チームワークを作ることを目指します。ネットで一人でも英語は勉強できる時代だからこそ,子どもたちにはアナログ的に,仲間と一緒にやるから楽しい,楽しいからいつの間にか歌える,英語のリズムが身体にしみこんでいる,というようになればいいなと思っています。
 後半は仲間とのテーマ活動(英語・日本語で語られる物語の劇表現)をします。子どもたちの自発的な活動を目指して,テューターはお膳立てをします。劇の中で,お話の中で,子どもたちはその時々に好きな役やものを表現します。でも劇を作り上げるには好きなことだけやっていればいいのではなく,仲間との協力が欠かせませんし,面白いものにするためには信頼している仲間の中で自分の思いを分かりやすい言葉にして伝えなければなりません。状況によってはその場で空気を読んだりします。このようにコミュニケーションスキルを育てていくことは,今の時代にとても大切なことですし,ラボではその環境をテーマ活動で作っています。
 その他にも季節感のあるイースターやハロウィーン,クリスマス・パーティなどを子どもたちと一緒に企画したり,お話によってはことばへのイメージを広げるために工作や絵を描くこともあります。

テューターになってよかったこと,
たいへんなことはなんですか?

 日々成長する子どもたちとの活動はとっても楽しいです。ラボでいろいろな子を見ているうちに,一人ひとりの個性の違いやよさを見つけ,この子はここがすごいねとか,この子は反抗期にはいったよね,など成長や悩みを保護者のみなさんや先輩テューターと共有できるよさがラボにはあります。もちろん我が子も含めて。高学年になるとポロっと出る本音やつぶやきが聞けるのもテューターの特権。ラボが子どもたちの「安心できる場」になっているのかなと嬉しく思います。
 なにより発表会では,年齢に関わらず,長い目で成長を見守ってきた子が旬をむかえてキラキラと輝く瞬間を間近で見られるのは格別です。その一歩大きく成長する前の不安やドキドキも胃が痛くなるほど共に感じています。本人がやりたい,楽しいと思うこと,そして一人ではとてもできないと思えることを,応援してくれる人や仲間のためにやりきる子どもたちの力にいつも私は驚かされます。子どもたちは仲間がいると競うようにあっという間に長い英語のセリフを覚えてしまうことがあります。同じ言葉でも使う状況が変われば言い方が変わるということに自分で気づき,ノートにまとめ始めた子もいました。子どもが自発的に気付いて成長していく姿を見られるのがうれしいです。
 たいへんなのは,たくさんある行事のスケジュール管理や運営,そして子どもたち一人ひとりの一歩先の目標を見極めることです。根気よく声をかけること。子どもたちが主体的になれる場を作り,テューターである私が出過ぎないこと。子どもたちと向き合うのは大変なエネルギーがいるので,私自身の体調管理や心の余裕がないと駄目だなぁと常々思っています。

これからラボでしていきたいこと,夢はなんですか?

 私も子どもたちと一緒に学び続けたい,笑っていたい。クラスの子どもたちが,心と身体,言葉をバランスよく使い,自分らしく幸せをつかむように応援したい。そのためにも日本を含む世界が平和であって欲しいと思うので,ラボで育った多様性を受け入れられる寛容さを持つ子どもたちをラボの国際交流(海外ホームステイ)プログラムに送り出し,日本と海外のいろいろな違いを実際に見て,肌で感じてほしいです。それは自分のよさ,日本のよさに気づくことにもなるのではないかと思います。
 私が「兄弟愛の町」フィラデルフィアでの生活で感じたように,国際交流プログラムに参加した子どもたちと受け入れをしてくださった国の家庭とのつながりがあたたかい関係を作り,草の根の平和活動につながっていくと信じています。

どんな方にラボ・テューターをお勧めしたいですか?

 人種を越えた兄弟愛のある方。明るくオープンで前向きな性格,クリエイティブな方。柔軟性がある方が良いかもしれません。ぜひ,私たちテューターの仲間になりませんか?