金澤 仁美
(かなざわ ひとみ)

徳島県鳴門市
2005年7月開設

テューターになる前はどんなお仕事をしていましたか?

 特に英語にも子どもにも関係のない,地元企業の総務課で3年間勤めました。退職後は結婚し,専業主婦でした。

テューターになったきっかけを教えてください。

 英語はずっと好きで,一人目の子を出産した後も,翻訳の勉強をしていました。そして,次の仕事を考えていた時に,ラボ教育センターが運営していた「小学校英語講師養成講座」を受講し,ラボのことを知りました。
 講座終了後,ラボとは別の児童英語教室に採用されました。県内の幼稚園や保育園に出向いて1コマ30分のレッスンをするお仕事です。その仕事は,Repeat after meの指導形式で,目の前の子どもの様子に関係なく,予め決まった指導計画に沿って進めるものでした。やっているうちに,これは子どもたちつまらないだろうなあと思う日や,これはできないなあと思う日が出てくるようになりました。
 そのころ,ラボの指導者(テューター)養成スクールを受けました。ラボの教育方法である,絵本の内容を劇のように表現することに若干の恥ずかしさはあったものの,元々子どものころや学生のころ,英語で吹き込まれたストーリーを聴くことが好きだったので,ラボのやり方なら子どもにとって楽しく,興味がわくはず! と考え,決めた受講でした。
 自分の体験から,子どもが英語に触れる入口としてラボの方がいいと思いながら,園でのレッスンを続けていたある日,感情表現の単語を取りあげるレッスンをすることがありました。このときだけは,どうしても教わった通りのマニュアルで進めることに抵抗があったので,ストーリー仕立てにして,その中でそのことばに触れてもらうことにしました。
 なぜ抵抗があったかというと,例えば“Happy”ということばについて,「しあわせ」ということばで説明しても,2,3歳の子は普段,「しあわせ」ということばを使わないので,使わないことばで説明しても理解できないし,理解できなければどんな気持ちかは感じられないので,意味がないと思ったからです。
 実際にラボの教育方法のようにストーリーを作って,単に英語を日本語に置き換えるのではなくて,主人公の感情が表れたことばとして“I'm happy!”と使ってみると,今までのどのレッスンよりも子どもたちの目がきらきらして,すごい集中力で聴いていました。更に次の週,園に行くとまたあのお話して~! とせがまれました。やっぱりお話の力ってすごい! と実感し,その児童英語教室との契約終了を待ってラボに専念することに決めました。

普段はどのような活動をしていますか?

 今,3歳から中学生の会員がいます。
 毎週のクラスでは,英語の歌を楽しんだり,ゲームをしたり,テーマ活動をしています。テーマ活動というのはラボ・ライブラリー(英語・日本語で語られる音声教材)を元に劇表現をする活動です。まず,歌やゲームで心と身体をほぐし,リラックスして活動が楽しめる雰囲気作りをしています。
 その後はテーマ活動です。小さな子たちはごっこ遊びで英語の物語を楽しみ,年代が上がるとセリフやナレーションを覚えて発表する機会を設けています。劇の表現についても,子どもたちが話し合って,みんなで協力して創りあげ,コミュニケーションの力を養っていきます。この活動を楽しく実施するには,みんながお家でラボ・ライブラリーをよく聴いてくる必要があります。そのために,テューターは,子どもたちがお家でラボ・ライブラリーを聴きたくなる活動になるように,あれこれと準備します。
 その他には,イースターやハロウィーンなどの異文化を楽しむ行事やお泊り会などをしています。異文化の行事は,子どもたちに役割を持たせて,会の企画から関わってもらっています。また当日の運営,司会,ゲームの説明なども任せるようにしています。子どもたちが将来,英語を使うにしても日本語を使うにしても,他者と協力して自分の力を役立てること,そしてそのことに喜びを感じられるような子を育てていくことは,これからますます大事になっていくように思います。AIではできない,人にしかできない,人間関係を調整しながら物事を遂行していく力をつけていってほしいと思っています。
 幼いうちはイベントを楽しみながらも,大きいお兄さん,お姉さんの姿を見ることで,知らず知らずのうちに,運営やコミュニケーション,物事の進め方等,たくさんの学びを得ていると思います。

テューターになってよかったこと,
たいへんなことはなんですか?

 子どもたちの成長の場面に立ち会えることと,その喜びを保護者のみなさんと共有できることが最大の喜びです。子どもたちはそれぞれのタイミングで壁を越える瞬間がやってきます。その“あっ越えたな!”っていうときの子どもの姿や,それまでには見られなかったその子の内面が垣間見れたときは感動します。
 でも,活動は山あり谷あり谷あり……。谷のときには何かを変えねば! と試行錯誤です。子どもたちにもう一段上を目指してほしいと思ったとき,行動そのものを指示するのではなくて,子ども自身が自分で考えて,気付いてもらえるように,どうすれば自分からやってみようと思ってもらえるか,いろいろと工夫しています。
 また,ラボが目指していることを保護者のみなさんに理解していただくことも平行して取り組んでいかなくてはなりません。ラボは長期的な視野を持って活動に取り組んでいます。すぐ結果が目に見える形となって現れるわけではありません。でも,その都度深く取り組むことを継続していけば,その子のタイミングで花開くときがくることをくり返しお伝えするように心がけています。また,子どもの様子を見ただけでは分かりづらい子どもの変化を,そこへ至る過程を伝えたり,子どもの感想や絵を見せて説明したりしています。

これからラボでしていきたいこと,夢はなんですか?

 来年やっとクラスに高校生が誕生します。高校生には地域を超えた活動(キャンプなど)のリーダーを体験してほしいし,高校留学にも挑戦してほしいと思っています。ラボで体験できるいろいろなことを通して,自分に何ができるのか,どんなことで役に立てるのかを発見して,社会に出たとき思う存分自分の力を発揮してほしいし,置かれた環境でその子なりの貢献をして,その子らしく幸せに歩んでいってほしいと思います。巣立った子どもたちが,また金澤パーティに立ち寄ってくれたら嬉しいですね。

どんな方にラボ・テューターをお勧めしたいですか?

 テストの点数を上げる技術を高める英語教育に違和感をおもちの方,人との関わりが大切だと思われている方,頭ばかりでなく体験を通していろいろなことを感じ,そして体験から学ぶことが大事だと思われている方にお勧めします。
 またラボでは決まった指導マニュアルはありません。自分で工夫しながら運営し,新しいことへ挑戦することが好きな方にもお勧めします。
 そして何より,英語が好きな方,ことばや文化への関心が高い方,子どもが好きな方,物語が好きな方は,ラボの活動に魅力を感じられると思います。