影山 恵美
(かげやま えみ)

兵庫県神戸市北区
2010年10月開設

テューターになる前はどんなお仕事をしていましたか?

 外資系の商社で営業をしていました。
 かねてより希望していた「英語を使う仕事」ではありましたが,海外の顧客とのやりとりは主に電子メール,直接顔をつきあわせてコミュニケーションをとるものではなく物足りなさを感じていました。また,時差の関係で夜遅くまでの残業も多かったので,結婚と同時に退社しました。

テューターになったきっかけを教えてください。

 子どもを通わせていたラボ・パーティの教室が,テューター(指導者)のご事情で閉じられることになり,その教室の後継者にご指名いただきました。まさか自分が! と最初は自信もなくお断りしていたのですが,わが子にどうしてもラボを続けさせたいと思ったのと,保護者としてラボの行事に一緒に参加していると教室の子どもたちみんなの成長をわが事のように感じることができたので,「こんな思いができるのなら」と決意しました。

普段はどのような活動をしていますか?

 現在,プレイルーム(3歳未満親子クラス),幼児グループ,小学生グループ,中学生以上のグループと4グループで活動しています。毎週のクラスでは英語の歌やマザーグース,ラボ・ライブラリー(英語と日本語で録音されたラボの物語教材)をよく聞いて英語と日本語の劇表現をします。単純に英語を教え込むのではなく,文化の中のことばということを意識して取り組むようにしています。
 体験学習の要素もたくさん取り入れています。工作,ゲーム,クッキングなど物語に出てくる要素をとことん身体を通して実際に体験してもらうことで,物語の世界とことばをより深く感じられると思っているからです。中学生以上のグループでアラビアンナイトの『アリ・ババ』のお話に取り組んだ時は,モスクを見学したりペルシャ料理を食べながらベリーダンスを見に行ったりして異文化理解をしました。
 「楽しい」という体験は,ラボ・ライブラリーを聞くきっかけ作りにもなります。物語のイメージがわき,言いたいセリフができたり,よりことばに気づけたりします。さらには自分の気持ちをのせて英語を発することができるようになります。
 体験を通じて体ごと自然に英語を身につけているラボの子どもたちは,生活の中で見たり聞いたりする英語に敏感に気づきます。年齢の小さな子でもマザーグースや英語の歌などTVやお店などで耳にすると自然と口ずさんでいる様子を保護者の方から聞くと嬉しくなります。リズムにも耳なれているので受験の時になかなか時間のとれないリスニングにも苦労がないようです。学校で,先生に「さすが」と言われることが多いのもラボで身につけた力ではないかと思います。
 私はテューターですが,実はこのように自然に英語を身につけていける子どもたちがとてもうらやましく感じます。
 コミュニケーションの力を育てるために,1歳児から大学生までが一緒に楽しむ異年齢での交流行事もたくさん用意しています。クラスでの発表会や合宿,クリスマス会,ハロウィーン。年齢が上がるにつれクラスを越えた地域や全国の行事での交流や,国際交流(海外ホームステイ交流)へと活動の場は広がって行きます。行事は楽しむ場でもありますが大切な大きな成長の場でもあります。人前に出て自分を表現すること,小学生でも親元を離れて全国で開催されるキャンプに参加し3泊4日過ごすこと,初めて出会う仲間や異年齢の仲間との交流,異文化体験,リーダーシップをとること,リーダーのもとでよきフォロワーとなること,多くの経験が自分を育ててくれます。それらの活動の場を用意するのがテューターの大きな役目だと思っています。
 年に4回の保護者会も楽しみの一つです。保護者の方との子どもの情報を共有だけでなく,子育ての話をしたり,持ち寄りランチで盛り上がったり,ラボの教育と子どもの育ちについて確認しあう,私のクラス運営には欠かせないものになっています。

テューターになってよかったこと,
たいへんなことはなんですか?

 どんな子どもにだって,きっとその子にしかない特別な何かがあって,きらめくことができる。そのきらめきの瞬間を見られるのが幸せです。
 けれどもその場作りには苦労します。例えば行事も,大人がしてしまえば簡単ですが,ラボでは子どもたちに企画・運営してもらいます。
 行事では子どもたちに,高すぎず,低すぎず,その子にあったちょっと高い目標設定で役割を与えます。時には失敗することもあります。「失敗」というと悪いことのように聞こえますが,それを自分に必要な経験だったと気づかせることや,何がいけなかったのか,次回どうすればよいのかを考えることが,大きな学びの場となります。そのためテューターには,先に転ばぬ先の杖をだすのではなく「待つ」ということが必要となり,本人以上にドキドキすることもあります。
 そして私自身も,ラボ・パーティという組織の中で子どもたちと同じように,たくさんの人と交流し,物語を楽しみ,ファシリテーターという役割をにないながら,さまざまな経験の中で自分を成長させてもらっています。
 わが家には12才~20才の男の子が4人いるのですが,年頃なのにラボという共通項で話ができるというのもありがたいことです。テューターとして客観的にグループの中の我が子を見れるのもいい機会だと思っています。

これからラボでしていきたいこと,夢はなんですか?

 地域のみんなに「ラボで子育てするのが一番」と言ってもらえること。
 現代の社会では,子どもが学校の成績だけで判断されてしまったり,失敗を恐れずにチャレンジしたりすることが難いこともあります。
 子どもたちがのびのびと自己肯定できる場がある。そんなラボの良さを,これからも発信していきたいです。

どんな方にラボ・テューターをお勧めしたいですか?

 子どもたちに手をかけすぎず,しっかりと目を向けられる方。子どもの成長が喜びと感じられる方。好奇心旺盛な方には,ぜひなってもらいたいです!!