高津 正子
(たかつ まさこ)

千葉県市川市
2011年5月開設

テューターになる前はどんなお仕事をしていましたか?

 短大を卒業して,国際線の客室乗務員を8年,その後青年海外協力隊でホンジュラスの山間部で生活指導の仕事を2年間,帰国して企業で会議通訳や役員付き通訳・秘書などをしていました。

テューターになったきっかけを教えてください。

 自分が子どもの頃,ラボ・パーティの会員だったこともあり,ラボで身につけた英語が自分の語学力のベースにあり,非常に役に立つことは身をもって体験していました。また子ども時代を振り返ると,ラボでの様々な活動が自分の社会性を育ててくれたと実感しています。国際交流や国内キャンプだけでなく,学校以外の異年齢グループで自由に交流できたことが大きかったと思います。
 前職では正社員として社内通訳業務をしていましたが,企業買収などの変化で通訳の需要がなくなり,営業支援や企画などの部署に異動になりました。日々激変する環境の中で「これから自分はどうしたらいいか」「何か自分だからこそできる仕事はないだろうか」「年齢を重ねてもできる仕事は?」など,長期的なキャリアを模索し始めました。
 一方,周りでメンタルヘルスの不調になる同僚が多かったこと,また自分を見直す中で心理学に興味をもったことをきっかけに産業カウンセラーの資格を取り,同僚の相談にのるうちに「心にふれる仕事がしたい」と考えるようになりました。
 ちょうどそのころ,わが子(当時6歳)をそろそろ入会させたいとラボ・パーティの情報を集めました。自分が子どものころとほとんど変わらないやり方で存続しているラボの姿に,感動を覚えました。そしてラボ・テューターであれば「子どもの心に一番近いところで成長のお手伝いができる」「自分の年齢に関係なく続けられる」「今までの経験を生かせる」と考え,テューター・スクールを受講。そして何よりもテューター・スクールで久しぶりにラボにふれあい,心から「楽しい!」と思えたので,思い切って転職しました。

普段はどのような活動をしていますか?

 1歳から17歳までのメンバーがいます。午前中の赤ちゃんクラス,午後の幼児クラス,小学生クラス(2コマ),中高生クラス,土曜クラスの合計6コマを開催しています。
 通常レッスンでは歌やナーサリー・ライムで英語に親しんだあと,ラボ・ライブラリー(英語と日本語で録音されたラボの物語教材)の中から子どもたちが選んだお話でテーマ活動と呼ばれる英語劇をします。
 まずは家庭でラボ・ライブラリーを聞いて,英語のシャワーをたっぷり浴びてもらいます(インプット)。そしてテーマ活動で役になりきると,しみ込んだことば(日本語,英語)が思わず飛び出てきます(アウトプット)。しかもそれらは,気持ちのこもった生きたことばとして蓄積されます。ですからテューターのメインの仕事は,子どもに自宅でラボ・ライブラリーを聞いてもらうことだと思っています。聞き込み表を作ったり,聞いてくれば楽しいと思ってもらえるようクイズをしたり,登場人物について話し合いをしたりなど工夫はしていますが,そこが一番難しいです。
 レッスンの間は自分も子どもたちと一緒に歌やお話を楽しもうと心がけています。ラボ・ライブラリーには素敵な物語がたくさんあり,子どもたちと一緒に物語を体験できるのは本当に楽しいし,新しい発見がたくさんあります。

テューターになってよかったこと,
たいへんなことはなんですか?

<よかったこと>
●子どもの成長を見ることができる
 ラボ・パーティの特徴として異年齢グループが挙げられますが,例えば,今までは甘えん坊だった子が年下メンバーが入った途端に急にしっかりしたり,逆に年上メンバーへの憧れから見たことのない頑張りを見せてくれたりします。それ以外にもラボでは子どもたちが活躍できる場がたくさんあります。ゲームが得意な子,お話が好きな子,歌が好きな子,リーダーシップが取れる子,面倒見がいい子……,それぞれの場で生き生きと成長していく様子を見られるのは大きな喜びです。
●ライブラリーの英語
 ライブラリーの英語が子どもたちから自分の言葉として飛び出すことがよくあります。“Here we go!”や“Don't worry!”とか,あまりにも自然に発語するため,驚くことが多いです。
 ラボで育った子どもは,習得するのに一番時間のかかるリスニングで苦労しないため,中学生になって「ラボやってよかった!」と言ってくれる子が多いことも嬉しいです。
●保護者と一緒に子どもの成長を喜べる
 ラボは英語力のベースを作っているところだと思うので,目に見えてわかりやすい成果はないかもしれません。ラボで育つ社会力,これもすぐに目に見えるものではありません。そんなラボの教育を理解し,入会を決めてくださった保護者の方は,一緒に笑い,一緒に悩みながらも,共に子どもたちの成長の喜びを共有できる仲間のような存在です。
●わが子にとってのラボ
 私の一人娘にとっても,ラボはかけがえのない居場所です。たくさんの子どもたちとふれ合い,きょうだいのような仲間がたくさんできました。また私がラボのことで悩んでいると適切なアドバイスもくれたりして,何回も助けられました。ラボのお陰で親子関係がとても良くなりましたし,娘にとっても一種のキャリア教育になっていると思います。
<たいへんなこと>
●自分で準備することが多いこと
 毎週のレッスンに加えて,発表会に向けた準備,季節のイベントに向けた準備などをしています。ホームステイ交流に向けた子どもの育成など,長期的なスパンで考える準備もあり,頭の中には大小いくつものプロジェクトが走っています。それでも,ラボの様々なプログラムを通して子どもたちが自分の殻を破って成長する姿を目の当たりにすると,その苦労も吹き飛んでしまいます。
 そして,会員募集。ラボの総合的な教育で育つ英語力,社会力は簡単に説明がしにくくて大変です。でもラボはそれぞれの個性を大切にしながら,着実に心とことばを育てています。そのラボの力を信じ,そしてそんなラボを待っている子がいると信じて,募集活動もがんばっています。

これからラボでしていきたいこと,夢はなんですか?

 「自分の居場所を持っている」「なりたい自分になれている」そんな子をたくさん育てたいです。
 例えば,幼い子にとって大人や年上のメンバーと手をつないだりするだけで,ドキドキするものです。他にも,ママのひざから離れられない子,初めてお泊りをする子,初めて発表会で英語劇のセリフを言う子,ホームステイ交流で一ヶ月間親元を離れる子,イベントのリーダーとして広い世界に踏み出す子,……。子どもたちは,周りのあたたかいまなざしの中で,勇気をもって一歩ずつ外の世界に踏み出していきます。私にとってのラボ・パーティは,そんな瞬間のくり返しです。
 これからもラボの教育を通じて,一人ひとりが自分のペースで外へ,前へと踏み出すお手伝いをしていきたいです。そしてラボでは,英語力を育てながら,社会力を磨きながら,それができると信じています。

どんな方にラボ・テューターをお勧めしたいですか?

 絵本と歌が好きで,未知の世界を楽しんで進むことができる人,そして自分のプロデュースができる人です。
 ラボはマニュアルがない世界です。はじめは戸惑うことが多いと思いますが,先輩やスタッフの助けを借りながら進んでいくうちに,自分なりのラボができてくると思います。子どもたちの成長が道しるべです。もちろん私も途中段階ですが,私自身も一歩づつと歩んでいきたいと思います。